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『闘茶』
茶。台湾や中国ではその価値、値段たるや命を賭ける人もいる世界。
日本では想像できないようなお茶市場があるらしい。日本にも茶道があるにもかかわらず、私は日本人として恥ずかしいくらい無知で、外国と茶室へ行った機会に一緒に学ぶ有様でした。
お抹茶は美味だし、わびさびの趣に日本のよさを感じつつ、作法がとっつきにくいという印象もぬぐえない。それが10年前に台北で体験した茶芸で変わった。庶民の生活に近いところにあり、茶器を肌に転がし、眼に当てるといった所作も入りやすく魅せられた。
『闘茶』に出てくる丹念に選ばれた家屋や風情は懐かしさを覚え、画面には茶の香が匂い立つよう。映像に併せて劇場内でお茶を立ててもらえたら理想ですが、魔法瓶に温かい緑茶を入れて劇場に持参することをお勧めします。映画でお茶を飲むシーンに併せて飲むと、お茶がもたらす小さな幸せを感じられます。

『天安門、恋人たち』
天安門事件と聞いて思い出すのは、高校卒業後に父が事業をしている北京へ移った友人のこと。
大学に通い中国語を勉強していた彼女は、事件の頃に母の故郷フランスへ逃げた。北京に残った父が彼女と北京出身の恋人の伝達役になっていたが、彼もフランスへ出ることができた。彼女によると、当時は彼を出国させるために結婚してしまったらしいが、彼らは現在子供二人と北京で幸せに暮らしている。
当時は彼女の話を聞いてスリルやロマンを感じるより、「中国は怖い国」という印象が植え付けられ、遠い国となった。

この映画では、男女の昔の恋に対する感情や、離れてしまった恋人には再会すべきかという興味深いテーマも描かれる。天安門事件を肌で経験した世代には、案外多くの別れてしまった「ふたり」がいるのかもしれない。最初に触れた友人はこう漏らした。「天安門事件を知っている自分がとても年取っているように感じる」。
この作品は、俳優たちにとってもキャリアで一度しか演じられない記念碑的作品に違いありません。主演男優グオ・シャオドンは最近ではケリー・チャン、レオン・ライ主演の『江山美人』、ツイ・ハーク監督の『深海尋人』出演など活躍中ですが、2003年には東京国際映画祭出品の『故郷の香り』(グランプリ受賞)で来日しています。その際私はひょんなことから彼とマネージャーの買い物を手伝うことになり、何とか果物を買えたのですが、その時の筆談経験のはがゆさと発見が中国語を習うきっかけのひとつになりました。当時の彼はまだ田舎の好青年風でしたが、今はきっと洗練されたことでしょう。。。今度会えたら中国語でお礼を言いたいものです。
7月26日(土)より渋谷シアターイメージ・フォーラムにてロードショー
2006年/中国・フランス/中国語/原題: 和園
配給:ダゲレオ出版
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『雲南の花嫁』
四川省成都出身のチアン・チアルイ(章家瑞)監督。四川大地震の余波が心配される中、宣伝来日をしました。その際『雲南の花嫁』チャリティー試写会が企画され、何か貢献したいと思い司会を担当させていただきました。その際、監督にお話しを伺いました。
前作『雲南の少女 ルオマの初恋』ではハニ族の素人同然の少女を起用し、それが映画の成功の鍵でもあったと思う。本作では漢民族の俳優が少数民族を演じているが、それはいかがなものかと聞いたところ、「『ルオマ』撮影の後、雲南省政府からもう一本雲南で撮ってくれないかと依頼があった。当初はスー・チー、トン・ダーウェイ主演の予定だったが、スー・チーが怪我のため降板。中国建国55周年に間に合わせるため、急遽当時は無名のチャン・チンチューとテレビドラマでは有名なイン・テンシャンで撮ることになった」とのこと。当初の意図はスター起用の雲南省宣伝映画の印象もあるが、この後監督は連続三作チャン主演・雲南舞台で撮ることになる。本作でチャンの可能性を見出したからであろう。「普段は特に大きい目ではないのに、演じると輝きが宿り大きくなる、普通は物静かなのに演じると表情がはじける。そして大学では監督科専攻で勉強をしていただけあって、理解が深い」と彼女を高く評価している。その後の彼女の活躍はめざましく、中国・香港そして海外の作品にも立て続けに出演している。

結婚して三年は夫婦が一緒に住めない「帰家」というしきたりだが、映画の冒頭主人公フォンメイの母が出てくるシーンは、結婚をした母がしきたりを守らなかったことから村八分にされ、夫と山に入って自力で食料を調達しなければならず、フォンメイが「お母さんを守れなかった」と父を責めるのはそのことを指している。フォンメイの反発はそこに起因してだと思うが、彼女が単なるお騒がせ娘に見えてしまい、心の屈折が十分見えていないのは残念。ただ今ではこのしきたりは山奥の一部でしか行われておらず、出稼ぎ経験のある人も多い現代ではほとんど行われていないとのこと。
今年の五輪聖火リレーも雲南省を通り、少数民族も多く集まっている映像が流れた。少数民族が中国で最多の雲南省。それをアピールしたいながらも発展もしたい雲南省側、それに撮る省外の製作やスポンサー側の思惑もあるかと思うが、雲南が魅力的なロケ地であることは間違いない。
中華圏の女性監督10人が雲南省で撮る「中国新電影・雲南プロジェクト」といクリエイティヴな企画もあります。その中で完成した『公園』と『箱子・スーツケース』は日本の映画祭で上映されましたが、才能ある女性たちと雲南の融合、ほか8作も是非見てみたいものです。http://www.cinecn.net/

『ドラゴン・キングダム』
カンフー映画おたくが分かるネタを随所に散りばめながらも、カンフー映画を今まで見ていない人までも楽しめる娯楽作品。孫悟空や如意棒といった中華圏以外にも馴染みやすい題材(日本版『西遊記』はイギリスでも放送されよくしられている)とタイムトラベル、それを少年の成長物語に仕上げるこなれた感じはまさにアメリカ映画。J&J(ジャッキーとジェット)夢の初共演にもかかわらず、当初の脚本にはふたりのカンフー・シーンがなかったため書き直してもらったとのこと。J&Jの対決は素晴らしい。。。でもその面持ちはすでに僧侶のようでもある。それは自分の仕事は映画と言いながらも、それ以外の活動はチャリティーに捧げることに決めた二人の強い使命感の現れでしょうか。
作品宣伝のため来日したジャッキーは、四川大地震のチャリティプレミア上映に参加、1,378,000円の寄付金を集めた。記者会見でも四川大地震に対する日本政府と国民の援助に感謝の気持ちを述べた。加えてジャッキーは宮城・岩手大地震の被災者のために150着限定で作られた特製スタジャンと映画で使われたひょうたんにサインをしてチャリティ・オークションに出品した。ジャッキーは国連の要請を受け、チャリティー目的でカンボジアや東チモールなども訪問している。『ドラゴン・キングダム』の撮影の合間にも、ジェットとはもっぱらチャリティーのことを話していたらしい。
ジェットは2004年に滞在先のモルディブでスマトラ沖大地震に遭遇したこともきっかけとなり、赤十字の大使を努めながら、中国紅十字ジェット・リー基金としてワン基金を設立。自然災害の被害者のカウンセリングや、メンタルヘルスや精神的な問題に立ち向かう若者への支援を目的としている。「単に寄付をするお金持ちの立場ではなく、再建計画にも参加していくつもりだ」と語り、地震発生後に集まった多くの義援金が「どういう形で使われるのか明らかにならないケースが多い。そして表面的なことばかりではなく、被災者の心のケアをすることも大切」と、彼自身この1年は俳優活動を休止し、うわべだけではない救援活動を行う決意を表明している。
ある一定の地位と財力のある人は社会的責任を果たす高貴な義務があるというノブレス・オブリージュ(Noblesse oblige)の概念を中国に広めるまさに大使の役割を果たしている二人。日本でもさらに広まる必要がありますし、衣食住足りている人であれば誰でもわずかな貢献が出来ます。
「30年前、(カンフーが)凄い子供がいるって噂を聞いて見に行った、それがジェットだった」と回想するジャッキー。二人の交流が始まったのは約20年前。中国と香港の行き来が今のようにオープンではなく、大陸から香港に来たジェットをジャッキーが空港に出迎え、二人は人目を忍んで「デート」を楽しんだとのこと。以来、ふたりの友情は深まり、今では兄弟も同然。映画の外では分別のある大人になっても、スクリーンの中ではこれからも暴れ続けて欲しいですね。
7月26日(土)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
2008年/アメリカ/英語・北京語/原題:The Forbidden Kingdom
配給:松竹
映画プレゼンター 松下由美