中国映画情報!今月は「マイ・ブルーベリー・ナイツ」ハンズアカデミーで学んでいる映画プレゼンター、松下由美さんが★毎月★中国語圏の映画を紹介いたします。

中国映画情報
映画プレゼンター、松下由美さんが中国語圏の映画を紹介するコーナーです。
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マイ・ブルーベリー・ナイツ

マイ・ブルーベリー・ナイツ

−ウォン・カーウァイというフィルターを通して観るアメリカ−
あなたは失恋した時、どう日々をやり過ごしましたか。 失恋は時が癒してくれると言うけれど、マイ・引きこもり・デイズやマイ・やけ食い・ナイツが続いては、自己憐憫や自己嫌悪に苛まれるだけで、なかなか気が紛れない。
マイ・ブルーベリー・ナイツ│イメージ
映画やテレビではよく「行きつけの店」が出てくる。 ヒロインが外に出て、管を巻きながら誰かと接触しないと出会いがないので物語が展開しないのは当然だけど、それが脱失恋の一番の早道である。。。 でも失恋中はそれに気付かない。エリザベスノラ・ジョーンズ)が恋人とよく通ったカフェ。 そのオーナー、ジェレミージュード・ロウ)のように打ち解けられる人がいたら失恋の痛手も早く癒えるのに。でも、エリザベスは旅に出る。
ウォン・カーウァイ監督作品がきっかけで香港映画にのめり込んだ人、広東語を学び始めた人も多いことでしょう。 世界に認められた華人の中でも異色な監督の飛躍に期待すると同時に、失望を恐れる勝手なファン心理も働くのです。
全編アメリカで撮られた本作。今回の撮影監督はミヒャエル・ハネケとも仕事をしているダリウス・コンジ。期待を裏切らない「絵」は旅の過程を切り取ったミニマルな風景。監督の撮りたかった「アメリカ」はある意味普遍的で、そのどこかレトロな時代感は、アメリカに住んだことのない私にも近い「アメリカ」かもしれない。。。大きなパイ、ダイナー、大きなアメ車、まっすぐに続く道。

ブルーベリー・パイに溶けたバニラ・アイスクリームが染みこむ。閉ざされた心が溶けていくような、エロチックで甘い、残酷でおいしそうなショット。 撮影のために借りた実在のカフェ。ここでいつも売れ残るのがブルーベリー・パイ。 そしてノラに事前に聞き出しておいた一番嫌いなパイがブルーベリー!彼女に拷問を強いたわけです。実は甘党ではない監督、落ち込んだら食べるのはハンバーガーだとか。
マイ・ブルーベリー・ナイツ│イメージ
ノラ以外考えられないキャスティング。エリザベスの履く高いヒールは痛手なんて負っていないわよ、と強がるプライドの象徴か?監督はハイヒールを履いた女性の足がお好き。演技経験のないノラを起用したことに関しては、「とてもクラシックな存在感」そして「とても映画的で上質の楽器のようだ」という声。「彼女の声を聞いただけで、映像を見なくてもストーリーがわかるんだ。」クラシックなたたずまいは監督の作品の欠かせない要素かもしれない。往年のハリウッド俳優の雰囲気を湛えるデイヴィッド・ストラザーン然り。
いつもサングラスをかけミステリアスな雰囲気もある監督ですが、なかなかウィットのある人で、取材では記者の質問を上手に交わしたり、冗談も飛ばしていたそう。英語も堪能で、真摯な態度。でもふとした瞬間にこそブルジョア・オーラが出ているそうな。
「出ていくのは男、待っているのは女」というお決まりのパターンではなく、女性が放浪生活から帰ってくる設定にしたとも。
店内を撮るビデオを延々と一人で見るネクラな性格、売れ残ったパイを食べるジェレミーと、パイナップルを食べる『恋する惑星』の金城武が重なる。。。ジェレミーというチャーミングなキャラクターに没頭するため、ここはジュードの私生活のプレイボーイっぷりを忘れようと努力する。すべてはエリザベスジェレミーの距離を縮めるためにある。
マイ・ブルーベリー・ナイツ│イメージ
アメリカで撮影をするにあたり、3度のアメリカ横断ロケハンが敢行されました。脚本がない独自な即興演出で知られる監督ですが、英語作品ゆえ本作は70代のミステリー作家、ローレンス・ブロックと練り上げたものです。「アメリカでの仕事の進め方は杓子定規」、でも家族的な雰囲気の中で撮れたとも。

監督らしさが損なわれなかった大きな要因はやはり常連ウィリアム・チャンが編集、プロダクション・デザイン、衣装デザインと一人三役担当したことではないでしょうか。公式サイトにある通り「過去15年に渡り、香港映画の審美眼と向上心の提議を変革し続けてきた」まさにウォン・カーウァイ映画のカラーを決定付ける偉大なアーティストです。 それに加え、主要なパートナーであるメンバーを香港から呼び、アメリカのユニオンや時間の制約と取り組みながら取り上げた作品です。 迎合せずとも逆らわず。裏話ではありますが、中華圏の監督の飛躍に伴う苦労に思いを馳せるのも興味深いかもしれません。 「ぼくは学んだよ。アメリカの映画作りで一番重要なのは、ランチ休憩を時間通りに取ることだって」。
中国で上映された吹き替え版にもこだわりが。。。監督、この超豪華声優人でいっそ映画を撮って下さい。
エリザベス   董潔(ドン・ジェ)
ジェレミー 張震(チャン・チェン)
警官   姜文(チァン・ウェン)
警官の元妻   鞏利(コン・リー)
ギャンブラー   趙薇(ヴィッキー・チャオ)
ジェレミーの昔の恋人 徐静蕾(シュウ・ジンレイ)
*『2046』での来日に続いて監督の通訳を担当された広東語通訳の方の協力を得て書かせていただきました。
映画プレゼンター 松下由美
配給:アスミック・エース
マイ・ブルーベリー・ナイツ」オフィシャル・サイト www.blueberry-movie.com/
2008年3月22日 (土)より 日比谷スカラ座ほか東宝洋画系にて全国拡大ロードショー
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松下由美・・・・東南アジアとヨーロッパに長く滞在。
映画祭・映画イベントの司会・英語通訳や映画撮影の製作を担当している。
アート、インディペンデント系、アジア作品を多く担当し、中国語圏作品好きも高じて中国へ短期留学経験あり。
Sintok シンガポール映画祭実行委員。http://www.sintok.org/
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